【必須50項目を網羅】 近代・現代アートを知るためのアートの歴史徹底まとめ

「近代・現代アートって、むずかしそうだなー。でも、知ってみたいな。」という方に向けて、近代・現代アートの成り立ちを、西洋美術史をベースにして紐解いていきます。

この記事を読むだけで、近代・現代アートについて深い理解が得られます。

5つの時期の概要と年表

年表

アートのなりたちは大きく5つの時代に分けられます。
古代:キリスト教が生まれるまえのアート(200年以前)
中世:キリスト教を中心とするアート(200年〜1400年ごろ)
近世:古典古代(ギリシア、ローマ)文化復興のアート( 1400年ごろ〜1700年代前半)
近代:市民による社会になって生まれたアート(1700年代後半〜1900年代前半)
現代:便利な世の中の発展になって生まれたアート(1900年代後半〜現在)

それでは早速みていきましょう!

 

1.古代:キリスト教が生まれるまえのアート(200年以前)

年表


1.原始美術

最も古い美術作品として言われているのは、フランスのショーヴェ洞窟の壁画です。紀元前31000年前後に描かれました。そのほかの美術的なものは、メンヒル、ドルメン、ストーンヘンジなどといった宗教的な意味合いをもつ建築物がほとんどです。

作者:不明

作品名:ショーヴェ洞窟の壁画
年代:紀元前約3万年頃


2.メソポタミア美術

紀元前4000年頃、ペルシア湾近くにシュメール人がメソポタミア文明を築いたと言われています。ティグリス・ユーフラテス川水域で開花したメソポタミア文明では、原始農耕社会の中で、さまざまな「器形」やユーモアあふれる装飾のある「彩文土器」が見られました。

作者:不明

作品名:人頭有翼の雄牛像
年代:紀元前800年頃


3.エジプト美術

紀元前3000年から始まったエジプトの王朝時代を中心とする古代エジプトの美術を指します。代表的な美術品として、ギザの3大ピラミッドやツタンカーメンなどです。初期エジプト美術はメソポタミア美術の影響を受けたと言われています。

作者:不明

作品名:ツタンカーメンのマスク
年代:紀元前1300年頃



4.クレタ・ミュケナイ・ギリシャ美術

現在のギリシャ、地中海付近で発展した美術です。「美の原点」ともいわれていて、パルテノン神殿やミロのヴィーナスなどが代表的な美術作品です。中世以降発生する芸術に多大な影響を与えました。

作者:不明

作品名:サモトラケのニケ
年代:紀元前190年頃


5.ローマ美術

古代ローマを中心にローマ帝国全地域で展開されました。ギリシャを征服したローマは、そのクオリティに影響を受け発展しました。建築はアーチを用いた巨大な建造物が建てられました。

作者:不明

作品名:コロッセオ
年代:80年頃

 


2.中世:キリスト教を中心とする美術(200年〜1400年ごろ)

中世:キリスト教を中心とする美術(200年〜1400年ごろ)


6.初期キリスト教美術

ローマ帝国で発生した5世紀後半までのキリスト教美術です。キリスト教が弾圧されていた時代は、地下にキリストを想像させるモチーフを描きました。キリスト教弾圧が無くなると、新約聖書・旧約聖書の場面を表したモザイク画が大々的に制作されました。

作者:不明

作品名:ガッラ・プラキディア廟内部装飾
年代:500年頃

7.ビザンティン美術

東ローマ帝国時代のコンスタンティノープル(現トルコ)を中心に、4世紀~15世紀頃までに建設された教会やキリスト教絵画です。教会の壁に飾られるモザイク画や、金色の背景に描かれるフレスコ画などがあります。キリストや聖人を描くことも特徴です。

作者:不明

作品名:アヤソフィアのキリストと皇帝コンスタンティノス9世夫妻のモザイク画
年代:1200年頃

 

8.ロマネスク

11世紀~12世紀に栄えたヨーロッパ建築・美術の様式です。十字軍の遠征、聖地巡礼する人々も急増したことなどから、ヨーロッパ各地で文化が交じりあい、ロマネスク様式を形成していきました。絵画では地域それぞれの特色を持ったスタイルを持つことが特徴です。


作者:不明

作品名:サン・クレメン・デ・タウユ教会の《栄光のキリスト》
年代:1300年頃

 

9.ゴシック

12世に中頃から15世紀にかけて、フランスから西ヨーロッパに広がった美術様式です。「ゴシック」はゲルマン系ゴート族を指す「野蛮」という意味で、後のルネサンスの人々がこの時代の遺物を軽蔑的に見て使ったことに由来します。絵画では軽やかな色味を使用することや人間的で写実的な表現を特徴としています。

作者:不明

作品名:シャルトル大聖堂(ノートルダム大聖堂)のバラ窓
年代:1300年頃

 

 

 

3.近世:古典古代(ギリシア、ローマ)文化復興のアート( 1400年ごろ〜1700年代前半)


10.初期ルネサンス

15世紀キリスト教社会が衰退。貿易により生み出された経済発展の結果、古典時代の文化を復興させようという運動が起こりました。それが「ルネサンス」です。それまで稚拙で平面的だった絵画の表現が、遠近法の発明と、油絵具の進歩により、大きな変化が見られるようになりました。

作者:サンドロ・ボッティチェッリ

作品名:春
年代:1482年頃


11.北方ルネサンス

「北方ルネサンス」とは、15世紀~16世紀のドイツ、オランダ、ベルギー等のアルプス以北の美術です。とにかく細部までていねいに描き込みがされていることが特徴で、背景や場面作りの要素でしかなかった、風景や静物が、風景画・静物画・風俗画として自立していったことが特色です。

作者:ヤン・ファン・エイク

作品名:ヴァン・デル・パーレの聖母子
年代:1434年頃


12.盛期ルネサンス

1500年〜1530年の最も円熟したルネサンスを盛期ルネサンスといいます。三大巨頭である、ダヴィンチ=空気遠近、ミケランジェロ=人体表現の追求、ラファエロ=優美さ静謐さ、が後世の芸術家の手本として絶対視する考え方が、19世紀半ばまでの芸術観になりました。

作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ

作品名:最後の晩餐
年代:1498年頃

13.バロック

プロテスタントとカトリックの対立、印刷技術の革新、商工業の発達や東方貿易による富の肥大化等の時代背景のもと、より芸術が繁栄しました。そこで確立されたのがバロックです。絵画の表現が大胆かつ、ドラマティックなものになっていきました。

作者:レンブラント

作品名:夜景
年代:1642年頃

 

 

4.近代:市民による社会になって生まれたアート(1700年代後半〜1900年代前半)

14.ロココ

ヴェルサイユ宮殿が完成したことに端を発し広まっていった美術様式で、ソフトな色味、曲線等を特徴として描かれる、優雅な絵画スタイルで、一握りの人々に向けてられた特権的なアートともいうことができます。このあたりの時代から美術の中心地が本格的にフランスに移行していくことになりました。

作者:アントワーヌ・ヴァトレンブラント

作品名:シテール島の巡礼
年代:1719年頃


15.新古典主義

フランス革命によって貴族階級が没落し、貴族趣味の強かったロココ様式に代わって登場したのが新古典主義です。啓蒙主義の広がりから、市民革命=貴族社会の否定、銀行の設立=経済の安定、技術革新=産業の安定、考古学の発見=クラシカル表現の流行等により、絵画が、市民に向けた理性的な絵画に発展しました。

作者:ジャック=ルイ・ダヴィィッド

作品名:ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト
年代:1801年

16.ロマン主義

新古典主義のように、いくら綺麗で上手くても、理性的な描写や型にはまったような冷たい絵を人々は飽きてしまいました。その反動で出てきたのが「ロマン主義」です。感性的な色彩の美しさやドラマチックさから、冒険心を掻き立てるようなシーンを切り取り描写しました。

作者:ドラクロワ

作品名:民衆を導く自由の女神
年代:1830年


17.リアリズム

それまでは理想化された美を描くことがテーマでしたが、リアリズムでは労働者や農民の姿、なんでもない日常の風景を切り取ったシーンなど、目の前の現実や出来事がテーマになりした。その背景には産業革命の完成により、モノ、金、情報の活性化や、都市生活の整備があります。権力への反発というエネルギーが、リアリズムという反体制的な美術様式を産みました。

作者:ミレー

作品名:落穂拾い

年代:1857年


18.象徴主義

19世紀後半は、科学技術の飛躍的な進歩により、ヨーロッパの人々の生活が大きく変化した時代です。物質主義や享楽的な都市生活がもてはやされる風潮に反発し、人間の内面に目を向け、目に見えないものを描き出そうとしたのが象徴主義です。人間の苦悩や不安、運命、精神性や夢想などの形のないものを、神話や文学のモチーフを用いて象徴的に描きだします。

作者:ギュスターヴ・モロー

作品名:オイディプスとスフィンクス

年代:1864年


19.印象主義

この頃の美術界は「高尚な、神々や神話等の、現実には見えないモチーフを、美しく描くべきだ!」という伝統や常識の世界でした。印象派の画家たちは、実際に見えたものを忠実に描こうとしました。写実主義の流れである彼らですが、新しい感性で外の世界を見ていたのです。物の形よりも、光の変化や空気の震えといった一瞬の「印象」を再現しようとしたのです。

作者:クロード・モネ

作品名:印象・日の出

年代:1872年


20.ポスト印象主義

ポスト印象派は「後期印象派」とも訳されます。一見「印象派」から続いているようですが、ポストとは脱という意味があり、「脱印象派」なのです。一般的にはセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホの3人の巨匠を「ポスト印象派」と呼びます。この3人はグループを作っていた訳ではありません。それぞれがあまりにも個性的で独立ていることは絵を見れば分かります。

作者:フィンセント・ファン・ゴッホ

作品名:星月夜

年代:1889年


21.新印象主義

「分割筆触」という点描の技法は印象派と同じですが、目指したのは「論理的な点描」でした。表面的な変化だけではなく、その奥になる不変の法則を表そうとしたのです。永遠性と装飾性を追求したために、時が止まったかのような印象を受ける絵が多くあります。

作者:ジョルジュ・スーラ

作品名:グランド・ジャット島の日曜日の午後

年代:1886年頃


22.表現主義

自然の写実的な再現よりも、個人的な内面感情を表現することに重きをおいた様式です。感情を作品に反映させる表現は、物事の外面的な特徴を描写する印象派とは対極の位置にあります。人間の内面的なものの外への表現(expression)なのです。20世紀初頭ドイツで起きたドイツ表現主義は、次の芸術運動に大きな影響を与えて受け継がれていきました。

作者:エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー

作品名:街

年代:1913年

 

 

 

5.現代:便利な世の中の発展になって生まれたアート(1900年代後半〜現在)

23.前衛=アバンギャルド(表現・考え)

主に19世紀以降、従来の価値観を揺さぶるほど進んでいて高められている、挑発的な表現や考え方に対し使われました。歴史的に見れば、キュビズムや未来派、表現主義、ロシア構成主義なども含まれると言われています。日本では前衛を象徴する存在 として岡本太郎が挙げられます。対局主義を唱え、伝統的日本美術の批判、縄文の美を賞賛するなど、絵画、彫刻、著書などで紐解くことができます。

作者:岡本太郎

作品名:太陽の塔

年代:1970年頃

 

24.フォーヴィスム

フォーヴィスムの由来は「野獣」という意味の「フォーヴ」から来ています。芸術家の感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属するものではなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする。ルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現しました。

作者:アンリ・マティス

作品名:ダンス(2)

年代:1910年頃

 

25.エコール・ド・パリ

エコール・ド・パリとは「パリ派」という意味です。世界各地からパリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、カフェをサロンがわりにしてお互いを刺激し合いました。日本からは藤田嗣治が、イタリアからはモディリアーニなど、数々の有名アーティストが生まれました。

作者:藤田嗣治

作品名:カフェ

年代:1949年


26.キュビスム

パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックがキュビスムの創始者です。「概念のリアリズム」を主張し、三次元的現実社会の概念を二次元的に翻訳するとともに、絵画を一つの美的存在として結実させることを目的としました。ピカソが「アヴィニョンの娘たち」を書き始めたことから始まったと言われますが、1908年にマチスがブラックの風景画を「キューブ(立体派)」の言葉をもって評したのが名称の起りと言われています。

作者:パブロ・ピカソ

作品名:アビニヨンの娘たち

年代:1907年


27.ダダ 

1916年スイスで始まった、反美学的姿勢、既成の価値観の否定などを特色とする20世紀前半の芸術運動活動。最も知られているアーティストはアメリカで活躍したマルセル・デュシャンです。1913年発表の「自転車の車輪」では、既存の大量生産品を本来の用途や意味を変えて、アート作品に転用する手法「レディメイド」をはじめて試みました。レディメイドは、その後生み出される、ネオダダやポップ・アートなどに引き継がれ、現在まで様々に用いられています。

作者:マルセル・デュシャン

作品名:自転車の車輪

年代:1917年頃

 

28.レディメイド(手法)

マルセル・デュシャンが1917年アメリカで発表した「噴水」がレディメイドを代表する作品として知られています。アーティストが高度な技術を持ち、作品を制作するという従来の伝統を覆しただけでなく、オリジナルは一点のみという作品のあり方を変化させました。芸術の概念や制度自体を問い直す作品として、現代アートの出発点と言われています。すべてのものがアートになりうるという可能性を示すことで、芸術の枠組みを広げました。

作者:マルセル・デュシャン

作品名:泉

年代:1917年

Original picture by Stieglitz

 

29.未来派

20世紀初頭にイタリアで起こった芸術運動です。産業革命以降顕著になった、急速な都市化と工業機械化によって、伝統的な芸術と社会を否定し、新しい時代にふさわしい機械美やスピード感、力強い動きを「速度の美」として称揚しました。活動は絵画や彫刻にとどまらず、建築、写真、ファッション、デザイン、文学、演劇、音楽、政治活動に至るまで広範囲に及び、その後発生するダダやロシア構成主義など、20世紀の芸術運動に大きな影響を与えました。

作者:ジーノ・セヴァリーニ

作品名:装甲列車

年代:1915年

 

30.シュプレマティズム

キュビスムや未来派から強い影響を受けていたマレーヴィチが、現実とのあらゆる対応関係を排除した絶対的な抽象を志向し、正方形が最も純粋な形であるとし、白黒の円や正方形のみを構成要素とする対象が無い感覚の伝達を打ち出しました。それがシュプレマティズム(絶対主義)です。1915年、K・マレーヴィチが、白地の正方形の上に別の正方形を重ね合わせる絵画から始まりました。

作者:カジミール・マレーヴィチ

作品名:シュプレマティズム(シュプレムス No.55)

年代:1915年



31.ロシア構成主義

構成主義(日本ではロシア構成主義と呼ばれることが多い)は、1913年にロシアでウラジミール・タトリンによって創設された芸術運動。伝統的な絵画や彫刻をブルジョア芸術として否定し、実生活に役立つ芸術、社会的目的のための芸術を目指し、絵画だけでなく、建築、デザイン、舞台芸術、写真にも影響を与えました。スターリン政権後、抽象芸術を否定する社会主義リアリズムが推奨され、構成主義の作家は活動の場を海外に移しましたが、抽象芸術運動に大きな影響を与えました。

作者:エル・リシツキー

作品名:赤い楔で白を撃て

年代:1920年

 

32.デ・ステイル

ピエト・モンドリアンを中心に提唱された、造形主義です。従来の具象芸術に対して水平線、垂直線、直角、正方形、長方形、三原色、非装飾性、単純性を追求し、客観的で普遍的な表現様式を目指しました。デザイナーで建築家のヘリット・リートフェルトなど多様な分野で活躍するメンバーが参加していたことから、絵画・彫刻にとどまらず、建築やデザインなどにおいても変革をもたらし、その後創立される美術学校バウハウスに多大な影響を与えました。

作者:エト・モンドリアン

作品名:赤・青・黄のコンポジション

年代:1930年

 

33.シュルレアリズム

夢や無意識、偶然を重要視した表現をおこなった。1924年から始まるヨーロッパの絵画や文学において、夢のような世界観を持つ多くの作品を生み出しました。フロイトの「精神分析理論」はシュルレアリスムの柱であり、表現のスタイルは、意識の下に閉じ込められた無意識の欲望を描写するものとして確立されています。同時代のダダイスムや抽象表現主義と並んで、影響力のあった前衛スタイルです。

作者:ルネ・マグリット

作品名:ゴルコンダ

年代:1953年

 

34.抽象表現主義

40年代後半〜50年代にかけてニューヨークを中心に盛りあがった絵画の動向です。各作家達に一貫した主張や関連があるわけではなく、作品の特徴も様々ですが、作品にはアーティストの精神性を表しています。数メートル四方にも及ぶ画面の大きさと、製作中の身振り=アクション・ペインティングが共通点であり、カラーフィールドペインティングというジャンルが派生したり、ハプニングと言われるパフォーマンスに影響を与えました。

作者:ジャクソン・ポロック

作品名:ナンバー5

年代:1948年

 

35.ネオダダ

1950年代後半から1960年代にかけてニューヨークで始まった前衛的な芸術運動がネオダダです。後のポップアートの先駆けと言われ、印刷物、日用品、廃棄物など、大量消費社会や俗悪さを象徴するモチーフを使用した、コラージュや既製品を使った作品が特徴です。1950年代は抽象表現主義が芸術の中心でしたが、レディメイドやアッサンブラージュなど、ダダの技法を融合することで、新しい表現スタイルをうちだしました。

作者:ジャスパー・ジョーンズ

作品名:

年代:1954年頃

 

36.アッサンブラージュ(手法)

生活日用品、工業製品、廃棄物などをコラージュする方法や作品のことを指します。工業化や消費者文化の発達によりアートの手法の中で一般化されました。廃棄物を素材として使用することが多いため、ジャンクアートと部分的に重なっています。素材を直接提示することで日常生活を取り巻く社会環境を反映するする手法は、ネオダダ、アルテ・ポーヴェラ、ポップアートにおいて頻繁に使われた手法です。

作者:ロバート・ラウシェンバーグ

作品名:The Brooklyn Rail

年代:1960年代頃

 

37.ポップアート

主に大量生産・消費社会社会をテーマにしたアートの動向です。広告、テレビなどのマスメディアによって流通する大衆的イメージを素材としてして扱うことが特徴で、60年代アメリカで、豊かさを賛美する芸術として、全盛を迎えました。その後、急速に世界へと伝播し、大衆文化のイメージを流用してアメリカ文化や資本主義文化に対するシニカルな表現を示したりと、各国独自の文化と結びつくことで様々なスタイルを生み出しました。

 

作者:リキテンシュタイン

作品名:ヘアリボンの少女

年代:1965

 

38.コンセプチュアルアート

作品の物質性ではなく作品が示すコンセプトこそがアートの価値だと定義する動向がコンセプチュアル・アートです。こうした思想は60年代後半のアートシーンにおいて革新的なものでした。作品の美しさや技巧、感動的かどうかといった既存の価値は排除され、徹底的にコンセプトの良さが問われました。ダダのデュシャン以降のアートは全てコンセプチュアルアートと言えることもでき、現代アートを味わう上でとても大切な考え方になります。

作者:ロバート・ラウシェンバーグ

作品名:5つの色の中の5つの言葉

年代:1965

 

39.フェミニズム/ジェンダー(手法)

フェミニズムやジェンダーへの関心のもとに表現された作品を指す言葉です。60年代から興り出し、70年代に欧米を中心として盛り上がりました。美術史が男性中心的な視点で作られている状況から、性差別の克服を目指す活動が活発化するようになりました。近年では、社会的に決定された性差別を見直すジェンダー議論や、ゲイ&レズビアン・スタディーズ、クィア理論への関心も高まっています。

作者:ジュディ・シカゴ

作品名:5ザ・ディナー・パーティー

年代:1974-79年

 

40.パフォーマンス・アート(手法)

60年代以降に興盛した身体を介する表現を指します。作品が演じられる場所は美術館や路上、ビデオカメラ前など様々ですが、こうした場所や演者のみならず、時間や観客といった要素も重要になります。先駆的な試みとしてはハプニングやイヴェント、ビデオを使ったパフォーマンスなど、作品が美術館に回収されることを拒む反体制的な姿勢が言えます。社会に対して政治的な主張をするなど、作家ごとに形式や目的など様々なものが発生しました。

 

 

作者:ヴィト・アコンチ

作品名:センタズ

年代:1971年

 

41.ボディーアート(手法)

写真や映像により一回生のパフォーマンスを記録できるようになったことがきっかけになり、身体に塗装や加工、改造を施したり、身体を酷使するような表現が現れました。それがボディアートです。60年代後半に始まり、徐々に過激なものへと進化していきます。自傷行為や体液、タトゥーやピアス、整形など、身体の改革も表現に取り入れられるようになっていきました。

作者:クリス・バーデン

作品名:射撃

年代:1971年

 

42.ミニマリズム

60年代、アメリカを中心に、形態や色彩を最小限まで還元しようとするミニマリズムが起きました。立方体などの単純形態の使用や、色彩の抑制、同一要素の反復や幾何学的構造の採用によって作家の作業痕跡や装飾性を徹底的に排除しました。彫刻作品においては、広さ、高さ、採光など、展示される場の特性との調和や、場の固有性(サイトスペシフィック)を考慮することが意識され、インスタレーションの基本的な考えの元になったのと。絵画では変形キャンバスが考案されました。

作者:ドナルド・ジャッド

作品名:無題

年代:1989年

 

43.ランド・アート

アース・ワーク、アース・アートとも呼ばれ、1960年代末から実践された、屋外で土や砂などの自然の物質を用い、土木工事に匹敵する大規模な美術作品のことを指します。作品が設置される場への関わりを重視したミニマリズムを継承したものとされています。多くの作品は写真によるドキュメンテーションが積極的に行なわれましたが、記録がギャラリーに展示されるという倒錯的な鑑賞形態は、芸術をめぐる制度論的な枠組みをも顕在化させることになりました。現在では手法的な意味合いで使われます。

作者:クリストとジャンヌ=クロード

作品名:囲まれた島々(フロリダ州グレーター・マイアミ、ビスケーン湾のためのプロジェクト

年代:1980-83年 写真:ウォルフガング・フォルツ

 

44.スーパーリアリズム

1960年代半ばからアメリカを中心に登場し、写真をもとにエアブラシで徹底的かつリアルに描く絵画動向。目覚めた目で現実を見るポップアートや、没個性主義を深めたミニマリズムなどの動向と、基本的な理念は重なっています。写実から離れ、絵画に観念性を要求した表現主義とは対照的に、極度な写実に焦点を当てることで観念性を強調し、さまざまな手法を展開しました。主に絵画中心の動向ですが、一部の作家は彫刻に適用しました。

作者:チャック・クロース

作品名:マーク

年代:1979

 

45.アルテ・ポーヴェラ

60年代後半〜70年代前半にイタリアで展開した貧しい芸術という意味の芸術運動です。新聞紙やロープ、鉛、布切れなど日常にある素材を未加工のまま使用することや、石、土、植物などの自然物を反復的に使用したことが特徴で、代表する作品としては12匹の生きた馬をギャラリーに展示したヤニス・クリニスの作品が挙げられます。同年代に起こったミニマルアート、コンセプチュアルアート、日本で発生したモノ派との共通性が伺えます。

作者:ヤニス・クネリス

作品名:

年代:1969

 

46.ネオ・エクスプレッショニズム

70年代後半〜80年代半ばにかけて欧米で起こった具象絵画の動向です。ミニマリズムやコンセプチュアルアートなどの概念的で難解な表現に反発し、原始性や歴史性、エロスといった伝統的な主題を復活させました。大きな画面に荒々しい筆致や派手な色彩で歪んだような具象絵画で描かれる点が特徴です。イギリスではニューペインティングと呼ばれるなど、各国によって個別の呼び方と性質を持ちました。

 

作者:ジュリアン・シュナーベル

作品名:少女の肖像

年代:1980

 

47.ネオジオ

「ネオジオメトリックコンセプチュアリズム」の略。 1980年代後半以降、幾何学的で明確な造形性が特徴で、後期資本主義経済や高度情報産業社会を表象する、アプロプリエーションやシミュレーションを戦略的に利用する傾向がありました。冷たい形式性と、既存の表象、レディメイドを使用する非人格的な造形のために、ネオ・エクスプレッショニズムとは対照的である傾向を備えています。 1990年代以降、この用語は回顧的になり積極的に使用されることはめったになくなりました。

作者:ジェフ・クーンズ

作品名:スリー・ボール・50/50・タンク

年代:1985

 

48.アプロプリエイション(手法)

80年代にNYを中心に台頭した、既存のイメージや作品を作中に取り込む手法のこと。コピーが大量消費される情報化社会を反映したもので、イメージの引用は、ダダ、ネオダダ、ポップアートなどにも見られますが、アプロプリエーションでは社会やアートへの批判にため、より確信犯的に転用が行われます。90年代にはシュミレーショニズムという言葉でアプロプリエーションを分解した解読がされました。

作者:シェリー・レヴィーン

作品名:泉(ブッダ)

年代:1996

 

49.リレーショナル・アート(手法)

作家個人の内面性よりも社会的な文脈や人間同士の、関係性によって成立する作品を指します。作品や展示室は自律的なものではなく、参加を通じて構築された観客や社会との関係が本質だとされています。例えば、紙を床に重ねて観客に1枚ずつ持ち帰らせる作品や、無数のキャンディーを床に敷き詰めるインスタレーションでは、観客がキャンディーを持ち帰ることができるものが挙げられます。

作者:フェリックス・ゴンザレス=トレス

作品名: 無題

年代:1991

 

50.メディアアート(手法)

デジタルテクノロジーを利用した作品の総称です。映像技術やコンピューター、インターネット技術を活用した作品など、多岐に渡ります。観客の操作により作品が変化するような作品が多いのも特徴です。50年代から現在に到るまで、技術の発展と共に絶えず新しいメディアアートが生み出されています。代表的な作家はテレビを用いて作品を制作したナムジュン・パイク。現在日本ではチームラボが最新技術を駆使した作品を制作していることがいることがしられています。

作者: ナム・ジュン・パイク

作品名:TV BUDDHA

年代:1974

 

まとめ 

ここまで、西洋美術史の年表と記事を通し、アートは時代時代の状況によって変化していることに触れていただけたかと思います。アートのみちすじは、脈々と続いている過去からの流れであり、なりたちは、それぞれの時代のニーズによって変化するアーティストからの回答と言い換える事ができるかと思います。現代に近づくにつれて細かくなる年表から、産業が成熟し、情報のスピードが飛躍的に早まった現在も引き続き、速度を増して、アートは多様なものへと変化し続けていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。早足で西洋美術を振り返りましたが、アートを知りたい人達が、アートを知ることで毎日がもっと豊かになったら。それは私たちにとって、とても幸せなことです。